他人と自分を常に比較する「比較地獄」マインドから抜け出そう

プライドを持って仕事することは大切である。

また、人生はいろいろ苦しいことが多いから、「俺もなかなかやるじゃないか」と自己満足に浸ることも、モチベーションを高めるために時には必要だろう。

けれども、プライドが面白く働くことを邪魔することも結構あると思う。

例えば高学歴なのに望んでいるような地位が得られなかったり、年下の上司に仕えねばならなくなったりして、気分の腐ったような状態で働いているような場合である。

かなり前の記事になるが、ダイヤモンドオンラインに『「負け組酒場」に集う高学歴ダメ社員の屈折した自尊心』という記事が掲載されていた。

http://diamond.jp/articles/-/68070

この記事の中で、高学歴ではあるが現在はうだつの上がらない人たちが集まるスナックが紹介されている。

すでに廃業してしまっているようだが、このスナックのマスターは、高学歴だがうだつの上がらない人たちのプライドを上手にくすぐって集客に結びつけていたのである。

そこに集まった客は、そのスナックにいる間はいい大学や大学院に入ることができた過去の栄光に浸っていられる。

そのようにして現在の惨めな境遇を一瞬の間でも忘れることができる、ということなのだろう。

このように今自分が置かれている境遇が不満で、「本来の自分は特別な存在で、他の人たちよりも本当は一段も二段も優れた存在なのだ」と思いたい気持ちはよく理解できる。

「世が世なら自分はこんなことをしている人間ではない」と言うような甘い幻想は心地よく、一瞬は自分の傷ついた心を癒してくれる。

こうした幻想は、学歴、親の地位、家柄、ルックス、若い頃の栄光の時代などその人なりの様々な理由によってもたらされる。

占いで客に受ける言葉は「あなたには隠れた才能がある」と聞いたことがあるが、確かにそういう言葉は傷ついた心を癒す効果はあるだろう。

けれどもこうした人たちが現実の自分が今置かれている境遇を振り返れば、周りの人が自分を全然評価してくれない不満や成功している人に対する嫉妬で心が一杯だ。

あなたがもしこういったマインドセットに陥っているなら、次のことに気づかねばならない。

こうした不満や嫉妬は、他人と自分を常に比較しようとする心の動きから生じる。

私たちは小さい頃から、家族、友人、親戚、会社の同僚、マスメディアなどから常に他人と自分を比較する意識を持つような刺激を大量に受け続けている。

だから無意識のうちに他人と自分をを比較することが、心の奥底まで徹底的に条件づけられてしまっているのである。

他人からどう見られているかを気にする度合いが、他の国に比べ日本は高いといわれている。

日本は長く農耕が基本の社会だったので、常に自分を殺して集団と合わせることが必要だったし、「人様からどう思われるか」が生きていく上で決定的に重要だったのだろう。

私は30代にアメリカで4年間生活したが、日本に帰ってきて多くの人たちがあまりに他人の目を気にし過ぎて、窒息したような状態で生きているのを見て、逆カルチャーショックを受けたものである。

私は日本人も日本文化も大好きだが、このような他人の目を気にしすぎて自分を殺す人がすごく多いのは、日本の病理的問題だと思う。

(ただ、日本人から見ると自己主張の強すぎるアメリカ人の態度もまた、別のタイプの様々な病理的問題を生み出しているとは思うが。)

このように無意識のうちに他人と自分を比較してしまう「比較地獄」の状態は、洗脳とも言えるプロセスの中で小さな頃から徹底的に植え付けられてきたものなのである。

私たち一人一人は、どんな境遇にあろうともユニークでかけがえのない“特別な”存在だ。

そのことが実感されるなら、もう他人と自分を比較することにばかり心のエネルギーを費やす事はやめて、もっと生産的なことに時間とエネルギーを注ぎ込めるはずだ。

しかし比較地獄のマインドセットは心の奥深くまで埋め込まれているので、自分の心の状態をモニターして、意識的に生産的な活動に心のエネルギーを集中できる訓練を行うことが必要なのである。

“訓練”といってもそんなに特別なことではなく、何か生産的なこと、例えば「面白く働く」ということに集中できるように心をモニタリングする習慣を作り出せばよい。

自分の心は自分のものであるから、人はそれが自分の思い通りにできると勘違いしている。

しかし例えば、他の人への憎悪や嫉妬などのネガティブな状態に自分がとらわれた時、そこから抜け出すのは容易でないことは大抵の人が経験しているだろう。

自分の心をモニタリングできるようになることは、スキーが滑れるようになるためにゲレンデで練習するように、意識的な訓練を行うことが必要なのである。

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